昨日6月10日付けでDebian 12、コードネーム「bookworm」がリリースされていた。
「bookworm」は『トイ・ストーリー3』の図書室の主だった「本の虫」。なお、次のDebian 13のコードネームは、こちらも『トイ・ストーリー3』からトリケラトプスの「trixie」とのこと。
今回は機能的にはそんなに目新しいというほどのものはなく、バージョンとしてはGNOME 43、Linuxカーネル6.1、MariaDB 10.11、PostgreSQL 15、OpenJDK 17、Perl 5.36、PHP 8.2といったあたりか。
nodenvやrbenvはなるべく使いたくないのだけれども、結局1年くらいするとどうにもならなくなりがちなので、そのあたりはもはやそういうエコロジーなものだと思って諦めるしかなさそう。
今回のリリースでは、non-freeからファームウェアまわりがnon-free-firmwareとして分割移動された。これにより、インストールイメージのバリエーションを作るときにnon-free全部は入れたくないけどfirmwareだけは許したい、というときの作業が軽減されることが期待されている。既存ユーザーでfirmwareを使いたい人はAPTソースリストに「non-free-firmware」を追加すること。
i386アーキテクチャでは、i586もいよいよ捨ててi686以上のみとなった。i386アーキテクチャ自体いいかげんもう作らなくてもいいのではという気はするけど、ビルド負荷がそんなに高いわけでもないので継続ということだね。ほかのアーキテクチャもがんばってキープされ続けていて、i386、amd64、arm64、armel、armhf、mipsel、mips64el、ppc64el、s390xと並ぶ。マイナーなのはもうユーザー数名の根気だけで続いている気がする……(実際実行したらSegVするのもありそうではある)。
クラウドチームからはもうイメージをpublishしたぜ、とのこと。Amazon EC2 (amd64 and arm64)、Microsoft Azure (amd64)、OpenStack (generic) (amd64, arm64, ppc64el)、GenericCloud (arm64, amd64)、NoCloud (amd64, arm64, ppc64el)。
更新注意系。
- フルバックアップしとけ。特に/etc、/var/lib/dpkg、/var/lib/apt/extended_states、dpkg --get-selections '*'の結果。
- ntpパッケージはntpsecにリプレースされ、デフォルトのシステム時刻サービスはsystemd-timesyncdが担うようになっている。chrony、openntpdは引き続き選択肢として提供。
- ファームウェアを使っていた人はnon-free-firmwareのAPTソースリスト追加。
- bullseye-backports→bookworm-backports。
- セキュリティスイートはbookworm-security。
- OpenLDAP 2.5で手動調整が必要な可能性あり。
- systemd-resolvedが分割されていて自動アップグレードで入らないことがある。手動でインストールのこと。systemd-resolvedを使っていた場合DNS解決できなくなるので注意。
- rsyslogはデフォルトではインストールされなくなっている。journalctlを使う。
- bullseyeとbookwormをAPTソースリストで混在させるとconflictsやpre-dependsループが起きる可能性。
- ブラウザ系パッケージと、Go・Rust由来パッケージについてはセキュリティ更新について、影響箇所だけのミニマムなバックポートは無理な可能性があるよ(セキュリティ修正はされるけどメジャーレベルの更新されることで昔のバージョンの機能に依存していたものが壊れる、など)。
あと、ftp.jp.debian.orgは諸処の事情で現状期限切れになるはず。deb.debian.org
に変更することをお勧め。